ガタンゴトン、ガタンゴトン…。
11時発・橋本行き急行の座席に深く腰掛け、大きなため息を一つ。
「ふぅーーーーーーーー。ホントならとっくに着いてたよな…。」
高野山へ向かう乗客達で溢れかえる電車内は、
大阪マダム達による野菜の詰め放題イベント以上のぎゅーぎゅー鮨詰め状態で、
そこらかしこで押し競饅頭が絶賛開催中だ。
旅の楽しみの一つである車窓からの眺めも、目の前に立つおじさんの
電車の揺れに合わせた絶妙な腰のシェイクと大きなリュックサックに阻まれて
全く見る事が出来ない。むむむ、ツライ。
開創1200年を迎えた高野山では大法会が行われており(4/2~5/21)
GWを利用して訪れる客で南海なんば駅はごった返しだった。
(駅で初めて開創1200年の事を知りました。)
改札付近には大行列が発生中。…これは一体何の行列なのかしらん?
と、気にはなりましたが、そろそろ乗る予定の急行が出発する時刻のはず。
気にしてる余裕はナイナイと、さっさとホームへ向かいますと…
ありゃりゃ!?急行なーい。どこにもなーい。
うそうそうそ!珍しく時間を調べて来たというのに、それはウソでしょ!ホントなの?
慌てて時計を見てみると針は10:25分を指していた。
うん。そうだよね。確か26分発だったんだから間違いなく大丈夫な筈なんだよね。
…なのに何故だ!?
念の為に時刻表を確認してみると…。
10:24分発。ギャッ!
時間間違えてたたたたたた。
…チッ。まあいい。この日は祝日、5月5日。臨時電車も出ているようだし、
すぐに次の電車が来るでしょう、と時刻表を改めてもう一度見てみると、
…ががが!高野山方面橋本行きの電車は11時までないじゃありませんか!
10時までなら1時間に4本ペースであった高野山・橋本行き急行特急が、10時を過ぎた途端、
2本にまで減っていたのです。嘘でしょ?ここ大阪の中心部でしょ?大阪って都会なんでしょ?
出鼻を挫くいきなりの電車待ち40分確定である。
うわぁぁぁ!こんな事ならチケットショップ寄らなきゃよかったよ…。
100円得しようと思って40分待ちとか…。
バカバカバカ俺のバカ!
あまりの事に両手で顔を抑え、ぐねぐねとホームで身を捩らせ悶絶する僕。
その時駅構内を流れたアナウンスが
「~11:12分発、特急こうやの指定席はすべて売り切れましたので…云々。」
ああすげぇなぁ。恐るべし高野山・開創1200年。
さっきの改札前の行列は特急券を買いたい人の列だったのか…。
新幹線以外で指定席が売り切れる所なんて初めて見た(知った)わー。
と、ちょっと感動。
…でも、特急には乗らない僕には関係ないよね。
と思ったのですが、よくよく考えてみると、特急券買えなかった人達がそのまま11時の急行に
大挙して押し寄せる可能性も無きにしも非ずって事なのでは?うぎゃ!
日頃の行いが良かったお蔭で無事座ることが出来た橋本行き急行。
1時間程で乗換駅である橋本駅に到着です。
そうそう橋本駅の向かい側のホームはJR線のホーム。なんか不思議な感じですな。
さて、今回の旅の目的地は、
…紀州九度山!でござい!
5月5日に開催される「九度山真田まつり」を見に行きます。
関ヶ原の戦いの後、昌幸・幸村親子が配流された場所が九度山。臥薪嘗胆!艱難辛苦!
「まんが真田幸村」が愛読書だった真田ファンの吾輩にとって、
九度山は是が非でも行っておかなきゃならん場所なのであります。
(とかいいながら、中々都合がつかずこれまで行ったことがなかったのよ。)
乗ってきた電車は橋本止まりなので、乗客全員一斉に下車。これがまたなかなかの混雑具合。
駅員さんのアナウンスによれば、高野山に行く人は次に来る電車ではなく
もう一本後の電車にお乗りくださいとの事。
ってことは、九度山行くには次のに乗ればええのか。
乗りなれない南海電車、ようわからんままに待っていると、
2両編成の赤色の可愛らしい電車がやって来ました。
よし、とりあえず乗るか!と中へ入ると、ほとんどのお客さんが乗ってこない。
おかげで、車両内、どの席も選びたい放題でした。
おもむろに車内を見回すと、先頭部分(運転席のすぐ後ろ)に特等席があるではありませんか。
京阪電車でもなかなか座れない、ほぼいつも電車好きの子供ちゃんが占拠している特等席!
空いている!空いている!橋本駅から九度山まではたった3駅ほどだが空いているから座ってもええよね!と、鼻息荒く、車両右側最前列に座ります。うむ、実にいい眺めだ。
反対側、左側の席は子連れ家族がゲット。
おお、坊主、良かったな。先頭に座れて。
と、ムフムフしていると、なぜかその小僧、
左側の親父さんの横に座らず俺の横に座って来るではありませぬか。
え?え?え?
そして身を乗り出して窓を覗いてくる坊主(窓側は僕だ)。
嘘でしょ?
あ、あんた、左の席があるじゃない…の?
…(葛藤)
…よし、坊主。君がここに座れ。
それを見て恐縮する親父さん。
いえいえ、どうせすぐ降りますから。と、ちょっと格好いい感じで言ってみたんだけど
その後すぐに、他の席を探して車内をうろうろしてしまったのはとても格好が悪かった。
(いつの間にかいっぱい人が乗ってきていたんだよね)
鉄道には全く持って詳しくないので調べてみたら、
この赤色の電車はズームカーと呼ばれる車両らしいです。
車窓から見える紀の川の雄大さを楽しんでいる内に九度山に到着。
いやぁ遠かった。実に遠かった。(でも高野山はさらに遠いんだぜ)
旅情たっぷりの九度山駅は、山間の小さな鄙びた駅でした。イイ感じだなー。
緑が多くて癒される。
そして流石は真田家ゆかりの地。
駅のあちらこちらに真田の文字や絵が。
真田祭以外の事はほぼ調べてこなかったので、駅の名所案内をチェック。
…おお!世界遺産もあるのか!こりゃぁ結構な距離を歩かなきゃならんみたいだねえ。
線路を渡ってレトロな駅舎へ向かいます。
外観よりも駅舎内の方がよりレトロな感じでしたなぁ。
金田一さんの映画に出て来そうな雰囲気!
駅舎を出て、さあ、いざ出発!
…ですが、駅前からはあちらこちらに道が伸びていて、
一体どこをどう行けばいいのかチンプンカンプン。
んー、こういう時は、他の人が行くのを参考に…
と思ったのですが、ここで降りた人達みんな、てんでばらばらに
歩いて行くんだよなぁ。
こうなったら観光案内所!と、辺りを探してみるも見当たりませぬぬぬ。
確か真田まつりの会場は川沿いだったはずだから…
川を目指して歩いて行けばいいんだよなぁ。と辺りをうろうろしていると、
大き目の地図を発見!
早速地図を眺めて大体の位置関係を把握。
とりあえず目の前にあるこの急な坂を進んでみるか。
と、坂を下って行きますと、
上手いことでっかい交差点に出ることが出来ました。この道で正解だったぽい。
だけど、ここから次はどっちに進めばいいのかわからんぞ。
むむむ、五叉路…。
真田まつりと書かれたのぼりは、まっすぐ進む方向に立っているし
臨時駐車場の看板もそちらを指し示している。
でも右手に伸びる道の入り口には真田のみちと書かれたアーチが建っているんだよね。
…うむ。どう考えても真田のみちを行くしかなかろうて。
たとえ遠回りになったとしても面白そうな匂いがプンプンするから
絶対、行って後悔しないはず。
よし!俺は真田のみちを選ぶぜ!と進んで行きますと…
正解!
真田のみちの両側には色々なお店が軒を連ねており、
人形や絵画、民芸品など様々なものが展示されていました。
(どうやら商店街の様ですな)
そして民謡とも演歌とも言えない、実にゆるーい感じの音楽が
延々と流れているのが脳髄を刺激するんだな!
このゆるい雰囲気たまらんわ~!ホント素晴らしすぎる。
(ちなみにこのゆるい曲の正体は後に判明しました)
お菓子やさんの入り口に貼られていた真田十勇士のイラストはすこぶる可愛かったなぁ。
歩いている途中、ちんどん屋さんに出会ったりと、
お祭ムード一色の九度山はものすごく楽しい。
更にずんずん進んで行きますと、店先で観光客への町案内をしていたおじさんがいたので
色々と真田まつりについて聞いてみる事にしました。
「武者行列の行進はこの道を通るから、ここで待ってたら見逃さないよ。
その時は人で一杯になるけどねー」
…ここだけの話、実は焦っていたのです。武者行列の行進が始まるのが確か13:00で
現在の時刻が12:40分。果たして間に合うのか?って。
この道を進んでさえすれば見逃す事はない!って事か。安心安心!
いやぁおじさんありがとう。これでゆっくり観光しながら進んで行けるわ!
おじさんとこにあったイベントマップを見る。
(これはもうちょっと先に行った時に撮った写真だけど)
んー、会場に向かう途中でも様々なイベントが行われているんだな。
何やら博物館もいっぱいあるし。これはもしかしたら全部回れそうにない感じだぞ。
今になって思う電車の遅れ。あれは痛かったなぁ…。
とりあえずこのまままっすぐ行っても大丈夫だと地図を見てわかりましたので、
そのままどんどん突き当りまで進んで行くと…。
トトロ状のなにかがいるご飯やさんがありました。
丁度お昼時で食べて行きたいところなんだけど、もうすぐ武者行列始まっちゃうからな…。
ここは我慢我慢。
街のあちこちに小ネタが転がってる九度山。
ふと見た電柱には十勇士のイラストががが!なんともいえない画風がイイっすなぁ。
道中、誘惑だらけで寄道せざるを得ない所がツライ。だって全然前に進まないんだもん。
この真田いこい茶屋では軽食から喫茶メヌーまであって、店の中は超満員でした。
鎧兜も飾られていて気軽に立ち寄る事が出来ましたよ。
道の途中には案内の看板書きがたくさん置いてくれているので
迷う事はまずありませぬ。助かるわ~。
…が!
なに?この金太郎さんって!?
すっごい気になるじゃぁないかぁぁぁ!
そしてそして、通っている道からは小道が何本も出ているのだけど、
それらの先にも色々な記念館などがあるようだ。
これはどう見てまわって行けばいいんだろう…。悩むぞ…。
だけど、やっぱりまずは開始時間が迫る武者行列ですよねー、
と思い直し進んで行きますと、
ん。ん?な?
あれは…忍者!?
次回。看板に潜む忍者を見る!
(平成27年5月訪問)
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