高く高く聳え立つ土の壁。
複雑怪奇な、まるで迷宮のような通路を抜けて辿り着いた先にあった狭山池博物館内に入ると、
すぐに目に入ったのがこの巨大な土壁でした。
…な、何これ!?
ちょっとこれは、土の壁の正面で床に手を付き、
「土遁、なんたらかんたらの術ッ!」
なぁんて叫んでみたくなっちゃうよな。
気分はすっかり立川文庫に出てくる、英雄豪傑、主人公だ。
大阪が誇る建築家・安藤忠雄の手による狭山池博物館は
なかなか不思議な形をしておりまして、まずはしっかりと館内の地図を確認です。
入ってすぐの場所はロビーのようになっていて受付がありました。
館内は綺麗で広々としており、とても無料だとは思えない程、
豪華で落ち着いた雰囲気。
左手には通路が伸びていて、どうやらそちら側にも色々と展示コーナーがあるようです。
右側は…おっ!
な、なんじゃこりゃー!このでっかいのは一体…!?
と、入って早々、そこにあった土の壁を見て大層驚いたのです。
まさかこんな巨大な謎の物体が展示されているとは露知らず。
どうせ無料の施設だし、そんなに大したものなんか展示されておらんだろうと
甘く見ていたので…
チョービックリシタンダヨ!
そもそもの話、これは一体何なの?
近くに駆け寄り説明を読んでみると…
ふむふむ、なになに、この土壁は狭山池の土堤の断面を移築したものだとな。
ふへぇ。って事は本物をこちらに持ってきたってことなのか。
この巨大な土壁、間違いなく狭山池博物館の目玉展示でしょう。
そうそう、この狭山池博物館では重要文化財に指定された資料も多いらしく
このような案内書きも出ておりましたよ。
土壁の真正面に設けられた展示コーナーでは、
治水や土木に関連しての展示・説明がたっぷり。
画面にタッチすると映像が流れだす、
博物館なんかではよくあるお馴染みの映像ものも
ここ狭山池博物館にもバッチリありました。
内容も、これまたよその博物館にもよくあるものと同じように、
かなり時代を感じさせる古い映像だったのが面白かったです。
しかし館内にある他の展示物や、博物館の建物自体は豪華で新しい感じがしてるのに、
なんで映像の内容だけは一昔前のドット絵のようなグラフィックなんでしょうかねぇ。
まぁ僕はこのチープな感じこそ博物館の醍醐味だと思うのですが。
そーしーて!
このコーナーには、もっと衝撃的な展示物ががが!
それがこれ!
川が増水し、氾濫した場合に町がどうなってしまうかというシミュレーター(?)ですな。
下にあるレバーを引くと、そこに書かれている状態に変化します。
ビジュアルの変化でわかりやすく治水や土木の大切さを学べるって事ですね。
もしかしたら水が上から流れたりするんかなぁ、なんてわくわくしてレバーをガチャリとしたんですが…
俺のワクワク感を返せ!と言いたい。
まず上部に雷雨が発生するんですが、
下からパネルが競り上がってきただけでした。
…ま、まぁ、なんだ。
いきなり水を流したりなんてことは普通しないからな。
と、気を取り直しつつ見ていると、
下の方でも同じ様にパネルが競り上がってきただけでした。
それもごくごくちっちゃいパネルが。
…これはすげぇわw
近くのド迫力の土壁や建物の豪華さとのギャップがすげぇ。
流行らない古いハコモノによくある展示物感はホント素晴らしいw
あまりのチープさに胸をときめかしながら、続けざまこちらの展示物を見てみました。
覗きからくりの様な物?
早速中を覗いてみると、ダムを作っていく過程を現したジオラマが
中に作られていました。
これは結構おもろいなー、なんて思いながら覗いていると、
ウイーンウイーンと不思議な音が辺りから聞こえて来るのです。
何々?どっから鳴ってるの?なんて気になりましたので、音が鳴るほうを探ってみると、
のぞき穴付近にセンサーのようなものがついているのを発見。
どうやら人が覗くと反応し、何かが動くようでした。
んー?何が動いて…。
ってこれかよw
その正体は、ジオラマ内のブルドーザー(だったけか)などが動く音でした。
おお!センサーに反応して動くジオラマだなんてすげぇ!
ってな風に思っちまいそうな所ですが、
動き方は実に単調極まりなく、前後にゆるく動くだけなのです。
ああ!素晴らしい!このチープさが(以下略)
まだ見始めてすぐの段階なのに、かなりの満腹感だ。
お次はメインディッシュである土堤をじっくりと見学することにしました。
説明書きを読んでみると、これがなかなか面白い。
ほぅほぅ、地層図のようになっているのか…。
土壁の周りにはスロープが作られていて、
見学しながら一階に降りられるようになっています。
しかし間近で見るとさらに迫力が増すな。まさに土の壁やで。
ずっと見ていると、バームクーヘンの断面に見えてきた。
土壁の前には解説用の小さい模型の土壁があって、
各時代の地層をわかりやすく電飾で表示してくれます。
土堤の下部はこんな感じ。
うまいこと地層を薄く剥ぎ取って、貼り付けている様子がよく解りますな。
こちらではどうやって土堤をはぎ取り保存したか等、詳しく説明されていて、
この作業がどれだけ大変だったか知ることが出来ました。
なんかのドキュメンタリーを見ているかのようだったなぁ。
と、以上が土堤・土壁に関してのレポート(?)でございます。
(どうでも良い事ですが、ホントは土壁周りのスロープは下りずに、
入り口から左手のほうにあった場所がずっと気になってたので、
先にそちらへ向かいました)
あまりに文章と写真が長くなっているので館内後半部分は次の記事にと考えたけど、
めんどくさいからそのまま続けちゃおう。
もうちっと続くぞ!
並んでいる展示物を見ながら入り口左手奥の方に進んでいきますと、
左側には一階へ下りる階段、そして右側には部屋がありました。
んーややこしい造りの建物やで!
左の方へ行って下を覗きこんでみた。
おお~、1階の展示物もすごそうだ。
そして右側にあった部屋は…なんと!
ハコモノめぐらー歓喜の、郷土資料館でした。
博物館内に博物館を造るとは、やるな安藤忠雄!(たぶん安藤忠雄さんは関係ないはず)
こちらの資料館で展示されていたのは狭山の歴史などについて。
利用されてるお客さんも多く、資料を読みふけってる人が何人もいてはりました。
資料館を見学した後は、1階へ移動します。
狭山池は何度も何度も改修工事が繰り返し行われていて、その時代時代で作られた・使われた、
堤に関連する樋や枠工などが展示されてました。(うーむ説明あってるのかどうかわからんw)
とりあえず一言で言うなら、マニアック極まりない!
↑の写真は木製枠工というもので、地滑りで堤が崩れるのを防ぐ構造物なんですって。
各改修工事には歴史上の人物がたくさん関わっており、
行基さん、片桐且元など有名人揃い。
それらに関する展示がドーンとたくさん続く1階展示コーナーは、
興味深く面白いものでした。
そしてそして。
この1階スペースでも度肝を抜く巨大な展示物が!
あれほど土壁でびびったっていうのに、まだあるんだから恐ろしいわ。
それがこの取水塔。
こんな大きいのが建物内に展示してあるんですぜ。
狭山池博物館しゅごい!
他にも行基さんの像や狭山池に関する様々な資料が展示されています。
とてもじゃないけどあまりの数の豊富さに説明しきれないので、
実際に行ってみて驚いてみてほしいものですわ。
しかし、いまだにここが無料だという事が信じられませんぬ。
余裕で入場料取っていいレベルの博物館だと思うんだが…。
あと、1階にあったちょっとお気に入りの展示物がこちら。
ボタンを押すと江戸期の大阪南部の灌漑の範囲が示されます。
蒼く広がっていく光景がすごく綺麗なんだ。
こんなに長いのに最後まで読んでくれてありがとう!
締めは博物館の入り口付近にあった、末永博士の銅像だ。とてもリアル。
(平成26年9月訪問)
狭山池博物館 公式サイト
おすすめ度 ☆☆☆★★ 建築に興味がある人はいいのではないのかと
ヘンテコ度 ☆☆☆★★ 外観は結構なヘンテコに属すると思います
入館料 無料
開館時間 10:00~17:00
休館日 月 年末年始
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