にぎにぎにぎって握り墨作り体験。墨の資料館。(奈良)

絶賛真冬開催中の朝の奈良はとても寒く、
暖房がよく効いた車両から降りるのは中々の一苦労だった。
(このままヌックヌクの座席に腰かけて、のんびりぼけーっとしてたいわ~)

待ち合わせ時間ほんのちょっと前に、
ばっちり近鉄西ノ京駅に到着。
薬師寺へ行く人達に交じっていそいそ改札へ向かうと、
本日の旅の同行者達は既に集合しているではありませんか。

オッ!早いねぇ。
珍しく遅刻魔の友人もきっちり時間通りに来てるなんてあたしゃ信じられないよ。
…あんた達、やる気満々ですやん。
まぁそれもそのはず、今回の旅はそれぞれがやってみたいと思っていた
奈良で出来る体験ものを一挙にやりに行こう、
ビバ!オッサン達の社会見学ってのがメインテーマですからなぁ。

って事で…
はーい、本日の内容は(某アニメ風に)
・春鹿酒造で利き酒
・墨作り体験
・そうめん作り体験
の3本です。

 

んで、まず最初に向かったのが、
墨作り体験が出来るという「墨の資料館」でございます。
なんでも奈良は墨の生産日本一の県で、
その生産量は実に全体の9割も占めている一大生産地なんですって。
(書道に全く興味のない僕は、太閤立志伝でたまたま知りました)

 

西ノ京駅から程近い、がんこ一徹長屋と言う施設内にある墨の資料館。
薬師寺とは駅を挟んで反対側ですな。

駅から歩いて数分で到着。ほんとすぐ近く。

寺院の拝観受付のような感じの入口があって、
まずはそこで墨の資料館の入館券を購入します。
購入後、そのまま敷地内へ入ってみると、横に一列に店舗が並んで建っておりました。
ふむ。これぞまさしく長屋だな。

えーっと、茶筅の店に焼き物の店…
あれれ?墨の資料館がどこにも見当たらないんだけど。

もしかして間違えた?
慌てて皆でキョロキョロ辺りを探してみたけど、墨の資料館は結局発見できず。
んー。案内書きの通りに来たはずなんだけどな…。

と、その時であった。
一番奥の方へ眼をやると、なんかこじんまりとした建物があるのを発見。
ええ!?まさかこれ?と思うくらいの小さな建物で、
どうみても普通の民家としか思えない。
でも墨の資料館←って貼っているんだよなぁ。
やっぱりこの建物なのか、と近づいてみると、
その建物は門のようになっていて、通り抜け出来る様になっていたのです。
そうです、この建物を通り抜けた先に墨の資料館があったのです。

ええぃ、ややこしい!

 

これまでとは一転、近代的なこちらのでっかいビルが墨の資料館でした。
だけど、人の気配が全くしないぞ…。

ドアが開いているので入っていいんだろうけど、
電気もついてないし…。逡巡する僕達。

ここまで来て入らない訳にはいかず、意を決して中へ入ってみると、
玄関先にはビックリするほどスリッパが並べられてました。
そう、足の踏み場もないくらいって言葉がピッタリな程。
…おおぅ。これだけ用意しているって事はそんだけお客さんが来るって事なのかな?
もしかしてかなりのメジャースポットだった!?

入ってすぐの場所に展示されていたのが此方の品。
流石は墨の資料館と言うだけの事はある。

2階に上がると、ようやく僕たち以外の人を発見!
そこに居たのは墨作り中の職人さんで、
ガラス越しに作業の様子を見学できるコーナーが作られてました。

しかしこれはつらいよなぁ。
誰も来なくても、 ガラス張りの個室で延々と作業しなきゃならないなんて大変だよなぁ…
なんて思いながら皆で見学です。

黙々と作業される職人さん。流石の手際に思わず見入ってしまいます。

そうそう、この後する予定の墨作り体験は、
きっとこの中に入ってやるに違いない。
職人さんに色々教えてもらいながら墨を作れるのだろうなぁ。
これはちょっと楽しみかも。と、皆ニヤニヤ状態です。

だけど、この中に入るのはちょっと嫌だなw。
絶対、体中真っ黒になっちまいそうだもん。
と密かに思っていた事は決して口外しなかった。

とりあえず体験場所を確認できた事に満足し、
体験申し込みをする場所を探しに、更に上の階、3階へ移動開始です。

うぉう。
3階は書道関連の展示品でびっしり。
アタクシまったく書道に興味がないので、面白さが全くわからずつらいですw
まぁ、そのつらさを感じるのが面白いわけなんですがね。
僕と同じく、それ程書道に興味を持たない同行者達一同も皆、口を開けてあんぐりでした。

 

書道道具の原材料。

有名な書道家の作品とかも飾ってたんですが、まったく知識が無いので誰なのかすらわかりません。
同行者は、あの○○先生の作品だ!なんて知りもしないのにはしゃいでましたけど。

さて。
肝心の墨作り体験なんですが、
体験申込み場所は3階のこちらの展示室内にありました。
ですが係りの人がいてません。
とりあえず呼び出しをしてからしばらくの間、展示品やら流れていたビデオを見て待っていると
奥から係りの人が出てこられました。

早速、墨作り体験の申し込みに行きますと
まずは墨の資料館の案内書きを頂きました。
ハコモノの案内書きやパンフレットって、カラフルだし読んでて面白いし、
集めるのが楽しいんですよね。
だけど、ここ墨の資料館のはコピーでした…。うひゃぁ…。

マジかよ!?
と、いささかがっかりしながら中の説明を読んでみると…。

 

握り墨体験3000円

 

の文字が。
…ん?3000円?

あれ見間違ったかな?

一桁間違ってるよね?300円ならめっちゃ安いよなぁ。
って、本当に3000円やん!

 

た、体験一回3000円もするってマジかよ!?

ざわざわ…

慌てふためく僕たち。
さぁ、緊急会議の始まりです。

 

折角墨作り体験したって自慢しようと思ったけど、
この値段はちょっときついよな。
どこまで体験させてくれるのかわからないけど、体験一回で3000円って…。

確か、ネットで調べた時は体験料5~600円だったような気がしたんだが…。
もしかして入館料と勘違いしてたか?
大体、墨作るのに3000円もかかるなんて誰も思わんがな。

同行者達を見回してみると、全員が何ともいえない表情をしていました。
でも、ここまで来て何もしないで帰ったら何しに来たのかわからんしなぁ。
しかも体験しますと係りの人呼び出したんだから、今更やりませんと言うのは恥ずかしいし…

 

こうなったらあれしかないか。

 

よし!お前ひとりでやれ。
と、こういう時にいつも体験役をさせている犬面氏に
僕達を代表してやってもらうことにしました。
ええ、もちろん代金は全額彼持ちです。

申し込む勇者。

握り墨体験の内容を説明してもらってるのを横で盗み聞きしてみると、
・ぎゅっと握る。
・その場ではもって帰れない。乾燥させたりするのが難しくて素人にはとても無理なので後で郵送。
・桐の箱に入れて送ります。

こ、これは恐ろしいことになりそうやで!
 金を払ってない僕たちは横でにやにやしっぱなしです。

ちなみに体験する同行者曰く、
「箱とかいいから500円くらいで握らせてくれ。」

 

体験の場所は、やはり2階の職人さんのいたコーナーでした。
係りの人の先導で二階へ降りて行きます。
途中で職人さんが居るガラスの中へ体験者だけ
連れていかれると思っていたら、何故かそのままガラスの前の場所まで一緒に移動する事になって
一同ハァ?な表情です。
3000円も払うのだから、部屋の中へ入って職人さんに手ほどき受けながら
体験すると思うのが普通ですよね。

甘い甘い。そんなのは実に甘い考え。 草刈正雄さんの顔よりも甘い考え。

う、嘘でしょ!?
(一同唖然)

…職人さんが居る部屋の、下のほうにある小さなガラス窓がそっと開きました。
で、職人さんが中から墨の塊を握って手だけを出してきます。
それを見た受付にいた係りの人が「これを握ってくださいね」と体験者へ言いました。

え?もしかしてここでちょっと握るだけなの?
「墨はデリケートなのでこの窓を開けるだけでも乾くんですわ。だから中へは入れませんよ」
と受付の人がピシャリ。

そ、そういう物なのか。
職人さんはこころなしか申し訳なさそうな表情だったように思いました。

 

握ってください。
ギュッ。
はいこっちにください。

時間にして数十秒の墨作り体験。
なんて罪作りな体験なんだろうか。

これで3000円かぁ。
場を支配するどんよりとした空気。
もういたたまれなくて資料館を出るしかないじゃないか。

そして外に出るやいなや全員で大爆笑!
これで3000円はないよなぁ。
金を払ってない俺たちは勿論の事、体験者も笑いっぱなしでした。

 

墨の資料館は書道をする人からしたらなかなかの展示内容らしく
結構お客さんも来るみたいです。僕達みたいな門外漢にはちんぷんかんぷんですが。

あと、墨作り体験は正直高すぎだと思いますが、
退廃的気分を味わうなら是非ともお勧めしたいところ。
ノリのいい友人を連れて、値段の事を言わずに是非とも体験させてあげてください。
心折れる様が面白いと思うの。

 

後日談いろいろ。

奈良ではここ以外の場所でも墨作り体験ができる事が後から判明。
しかもそちらではお値段が1000円くらいでできる上に墨を練ったりなんかもするらしいのです。
うほぅ!あまりに面白かったのでこの事を犬面氏に伝えると…
案の定、心折れてました。
あははw2度も廃人気分を味わえてよかったじゃぁないか。

ちなみに数か月後に完成した墨が届いたとの事です。
桐の箱に入ってすごく立派な出来だったようで、
たぶん値段が高かったのは墨がいいものなんだろうと
言ってました。

 

(平成21年2月訪問)

墨の資料館 公式サイト
おすすめ度 ☆☆☆★★ めずらしい体験ものだと思う
ヘンテコ度 ☆☆☆★★ 考えようによってはかなりのヘンテコさだ

入館料 無料
開館時間 10:00~17:00
休館日 月 年末年始 夏季(8月1日~31日)

 

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