巨大茶碗で回し飲む豪快なお茶会!西大寺秋の大茶盛式へ行ってみた。(奈良)

隣にいる人に支えてもらわないと、
とても抱え上げられそうもない程の大きなお茶碗を使って、
豪快に会場にいる人達で回し飲みをするという、なんとも侘び寂から程遠いお茶会が、
秋の体育の日(前後?)に奈良の西大寺で行われる大茶盛!
…なんですが、
ニュースでその様子が流れる度に、
一度体験してみてぇなぁとずっと憧れておりました。

予約しなきゃダメなのかな?
お茶のお作法は知ってなきゃ恥かいちゃう?
なぁんて、かなりハードルが高そうな気がして
なかなか参加する勇気が無かったのですが、
ちょっと調べてみた所、西大寺の大茶盛はそんなに身構えるようなものではなく、
ごくごく気軽に参加できるようだったので、
興味を持った知人達を誘って一緒に体験しに行く事となりました!

…だけど、参加するのに3000円もするんだよなー。
言うてもお茶会だし、高くても精々1000円くらいだと踏んでたのに、
何気にダメージは大きいです。

 

近鉄電車に乗って集合場所である西大寺駅へゴー。
丁度奈良では平城遷都1300年祭の真っ最中で、
観光客の多さが尋常ではなく、駅の改札辺りから既に大混雑でした。
(平城遷都1300年祭の会場である平城宮跡の最寄り駅と同じなのだ)

この観光客の半分くらいが西大寺に向かうとすると…
待ち時間はえらいことにになるんじゃ!?
と戦々恐々となった我々だったのですが、
有難いことにほとんどの観光客は平城宮跡方面へ向かって行きました。
恐るべし、せんとくん効果!

駅近三分。
ビックリする程近くだった西大寺。
さすが西大寺駅と言うだけはあるなー。
目と鼻の先という言葉はここで使う為にあるのだと思いました。

境内に入って、まずは大茶盛の券を購入です。

…おお!?
お茶会以外にもなんかいろいろついてますやん。
えーっと、本堂の拝観券、蕎麦の券、護摩の券、そして煎茶の券に大茶盛と
併せて合計5枚もついてるのかぁ。

最初は3000円って高すぎやん!
とか思ってたけど、拝観もできてお蕎麦も食べれて、
これは意外にお得なのかも!?

と、その時であった。
一同に衝撃が走る。
いつもの同行者・犬面犬氏が、やたらにゴマやゴマや!とかはしゃぎだしたのだ。
へ?なんで?護摩たくのになんでこいつはしゃいでんの?
何が面白いんだろうか?

…ハッ!

…よし!わかった!(等々力警部)

オマエ、もしかして、胡麻団子とか胡麻豆腐とか食えると思ってない?
そうです。そうなんです。
この馬鹿な犬面氏は蕎麦の券が付いていた為、
護摩の券を胡麻の券だと思ったらしいのです。
いくら胡麻が好きだからと言ってもなぁ…。

良い子のみんなは間違うと恥ずかしいから気を付けてね!

境内を見まわした感じでは、どうやらそれ程人も多くなさそうで、
ゆっくりお茶を飲んでお寺をじっくり見学したとしても、
余裕を持って鹿の方へ行けそうです。
(この日、鹿の角きりが行われていたので、大茶盛の後に見に行く予定です)
なぁんて能天気に考えてたんですが…
大茶盛の会場へ一歩足を踏み入れた途端、
我々一同腰が砕け、膝から崩れ落ちたのであります。

嘘でしょ!?
待合室には座る場所もないほどの人が詰めてました。
ちょっとこれはシャレにならない感じだぞ。
どこにこれほどの人数がいたんだろうか。と目の前の事実が受け入れられず戸惑うばかりです。
そりゃそうだよなぁ。毎年ニュースにもなるほどの有名行事、おもいっきり舐めてましたわ。
しかしこれほど人気だったとは…。

結局、この待合室で待ったのは一時間。ギャッ!

 

長いこと待ってようやく会場へ。
大茶盛の会場となっている部屋は何十畳というデッカイデッカイ大広間で、
そこにはこれまたデッカイ茶釜が置いてあって、緋毛氈が何列にも敷かれてました。
お行儀よく行列に従って進み、同行者達と仲良く並んで座ります。

周りを見回してみると、既に50人以上?が座ってはりました。
これはすごい人数やわ~。

「もう少しお詰めください~」
席が埋まりかけでも、どんどんと大広間に入ってくるお客さん達!
イヤン!それ以上は押さないで!
…ん?何気にこどもちゃん達も大人達に交じって健気に座っとるな。
頑張って茶碗を持ち上げて一気に飲み干すんだぞ!応援しとるぞ!ガハハッ!(豪快ぶってみた)

友人達とわくわくしながら大茶盛の開始を待っていると、
お坊さんが部屋に入ってこられ、大茶盛の説明や法話が始まります。
ふむふむ、なるほどなぁ~と、法話を聞いていると、
お菓子が運ばれてきました。

…へっ?嘘でしょ。
周りの人、皆懐紙用意してきてますやん。
懐や鞄からさっと出して、お菓子を受け取る際に目の前に出していってます。
気楽な感じで参加している我々一同、ドン引きだ。
だって誰一人用意なんてしていないんだもん。
犬面氏に至っては顔色は真っ青になるほどでした(この人、お茶会が大の苦手)。
 …まぁ何もそんなびびらなくても、お菓子配る人が普通にくれたのですがね。

 

お菓子をもぐもぐ食べていると、お坊さんがでっかい茶碗を持って来て
お茶を点て始めます。お!いよいよスタートのようだ!

遠くからまじまじと見る我々。
うーん、確かに茶碗はデカいんだけど、
想像していた程デカくはない感じだなぁ。
でも、茶筅は尋常じゃないくらいデカかった。
あの茶筅を見た人間は一度はシャカシャカしてみたいという
欲望にとらわれること必定ですな。

しかしこれだけの人数(100人近く?)で回し飲みなんてしてたら、
茶碗にどんだけの量のお茶入れなきゃならんの?
そんなにお茶入れると重すぎやしないか?
飲みきるのに時間かかり過ぎない?
なんて事をお茶をたてるお坊さんを見て思ってたんですが、
んなわけないよネー!
もう、こんなアホな事を考えていた自分を深く恥じ入る所存であります。

だって、客が飲むお茶は部屋の外から何個も何個も、
お客の前にいっぱい運ばれてきたんですから。
そりゃそうだよな。そうでもしないと時間がいくらあっても足りやしない。
ぼかぁ、ずっと一杯の茶碗を延々と端から回し飲みしていくものと思ってました。
ハズカチー!

 

大体5人に茶碗一杯の割り当てで、目の前にどんどん置かれていきます。
んで、目の前に運ばれてきた茶碗なんですが…
うーむ、確かにデカいのはデカいけど、これは一人で持てない大きさじゃないな。
これなら余裕で一人で飲めそうだ…。

まずは隣に座っていた犬面氏から飲み始めます。
抹茶が苦手な犬面氏は、飲む前から顔を歪めてました。
しかもこいつは大層貧弱、貧弱ぅ!な男でして、
飲む様子を眺めてみると茶碗を持ち上げてる手がプルプルしとりましたわw
飲む前に、支えといてくれって頼まれてたんで、横から茶碗を持ってあげましたよ。
ああー、俺、超優しいわ。
でも、これ途中で俺がこそっと力抜いたりしたら、
とか思ったのは内緒の話だ。

 

そして我輩の出番。
目の前に置かれた茶碗はやっぱり思ってたほどはデカくない。
確かに頭がすっぽり入るくらいの吃驚するほどの大きさなんですが、
個人的には、頭どころか体全体入りそうになるくらいの幅の広さを想像していた
(んなわけあるかい!)
ので、これくらいなら大丈夫だなと、がしっと茶碗の両縁を握ってみると…

ずっしりとした重量感。
…うわっ。これ重いやん。これはやせ我慢したらあかん重さやん。

恥も外聞もキューティーハニーが衣装を脱ぎすてる速さ以上にかなぐりすてて
隣のM氏に助けを求めた。
「これ、やばいかもしれんから、支えなくていいんで手だけ添えといてくれ…。」

 

…いやぁなかなか飲むのには疲れましたよ。
何がやばいって、前の人がある程度飲んでるだけに、
お茶の量が少なめになっとるんですよ(言い訳)
だからある程度持ち上げて傾けなきゃならんわけで。
そこで重みをがっしり両腕で受けなきゃ、下手したら一気に抹茶の豪雨が顔に降り注いでしまいます。

茶碗をおろしたら、ナメック星人になってた!
なんて事になったら恥ずかしさこの上ないじゃないか!

そうそう、お茶は大変美味しかったです!
やっぱ抹茶は美味いですな~

 

ここまで室内の写真は無し。
だって撮影禁止だったんだもん。
記念に抱え上げる所をとっておきたかっただけにとても残念だ。

なかなか貴重な体験が出来てかなりの満腹感。
さて次はどうすんべやなぁと、境内をうろうろ回ってみると、
お!?意外と人少ない感じだ。(学習していない)
これならどこから回っても大丈夫っぽいなぁということで、
先に煎茶を済ますことにしました。

…ってまたまた待合室で1時間待ちやんけ!と悶絶です。
今更引き返せないのでじっと待つことに。

この煎茶体験の待合室では
      入り口
友友僕〇 〇〇〇〇Ⅰ
〇〇〇〇 〇〇〇〇Ⅰ
〇〇〇〇 〇〇〇〇Ⅰ
(↓ずらっとまだまだ続く)

こんな風に並んで待つようになっていて、列と列との境界が至極曖昧な感じだったんですよね。
先の組の茶会が終わると入れ替わりの為に移動が始まるのですが、
待ってる人みんな一斉に入口へ群がっていくのです。
そう、僕たちより遙か後ろに座ってた人達がどんどん前に進んでいくんだなぁ。…嘘だろ!
何とか入口へ辿り着き、やっとの思い出入場に成功した。
(あ、勿論、自分より先に待ってた人達より先に入ってはいないからね!)

さぁおめぇたち!行くぞ!
と係りの人に券を渡して振り向いてみると…
そこに居たのは乾いた笑いを浮かべながら首を横に振る同行者。
あかん。やってもうたみたい。

 

 

…僕は部屋の隅っこの窓際にあった椅子に座っています。
早くに入った人達は、部屋に敷かれた緋毛氈の上に座って家元のお話を聞いているみたいですね。
みたいですねというのも、僕の目の前には柱があって、横から覗かなきゃ全然見えないんです。
仕方がないので、ずっと窓の外の庭を眺めていました。いい天気だなぁ。

何がどうなのかわからんうちに、ボーっと庭を眺めている僕の目の前には
まず1杯目のお茶が運ばれてきました。

家元曰く、お菓子は先に食べません。お茶の味がわからなくなりますから。
との事。

そうなんか~。と
ぐっと飲み干した。

…うん、不味い。

なに、この塩気のないこぶちゃのようなもわっとしたお茶は。
もやもや感しかない。渋いだけのお茶ならまだ飲めるけど、
まったり口の中に嫌な感じがずっと残る煎茶はたまらなく嫌だ…。
これは堺で飲んだ煎茶と同じや。堺の時は、作り方がへたやったから
まずかったんかなと思ったけどようやくわかった。

俺は煎茶が苦手なんだ!(抹茶は大好き)

横に居た女の人が「すごく甘いですねぇ。」
なんて言ってるけど、絶対甘くなんかない。
「美味しいわぁ」とか周りの人が口々に言ってるけど、
どこが美味しい?オマエ、味覚音痴か!(自分の事を棚に上げる)
と叫びたくなりそうになる。
だけど、どうにもこの会場内で不味いと思っているのは僕だけのようで…

 

俺が味覚おかしいのか?
この味皇と呼ばれたこの俺の味覚が!

 

2杯目も出るらしいんですが、正直、もう飲みたくないよ…。

2杯目の煎茶が運ばれてくる前に落雁がでました。
口直しにはありがたかったんですが、
これ食べると2杯目がまたやばい感じになるなぁなんて思いました。

んで、2杯目。
落雁食べた後の割には、先ほどより、もやっと感もなく飲みやすかったです。
横のねーちゃん、
「さっきのほうが甘かったですねぇ。やはりお菓子食べたからでしょうかね~」、
なんて微笑んで言ってやがる。

ハァっ?俺、全力でハァ?
どう考えても甘さで言うなら2杯目の方がましやん!

…俺は自分を信じるよ。

やつれて会場を後にする俺。
待合室で待つ同行者たちに無言で首を振りました。
これで奴らには十分伝わったはずに違いない。

 

 

入れ替わりで入ることになった奴らが煎茶を飲む間、
また1時間近く待たなきゃならない羽目となりましたが、
その待ち時間を生かして、じっくりたっぷり境内なんかを散策見学できたのでかえって良い感じだ。

 

西大寺、意外に広い!
かつては東大寺と並ぶ程の広さと威容を誇ってたんですって。

 

本堂拝観を済ました頃合いに、煎茶を飲んでやつれた姿の同行者達が現れた。
で、どうやったの、煎茶は?
と聞くと…うむ、俺と同意見か。
とは言っても、味覚音痴で名を馳せる犬面さんと一緒の意見と言うのはツラいなぁ。

彼らと合流後は蕎麦を食べ、護摩を焚き、
無事大茶盛体験をすますことが出来ました。

時刻は予定していた時間を大幅にオーバーする3時過ぎ。
かれこれ西大寺に4時間近くもいたことになるのか…。

あー、そうそう。
鹿の角きりなんですが、煎茶を待っている時点でどうやっても行けなかったようです。
さすが、俺達!

 

(平成22年10月訪問)

西大寺 公式サイト
おすすめ度 ☆☆☆★★ 待ち時間が長いのだけが残念。
ヘンテコ度 ☆☆☆☆★ 冷静に考えれば、巨大茶碗はかなりのヘンテコだと思う

秋の大茶盛 大人3000円 (本堂などの拝観付)
拝観料 (通常時) 本堂・愛染堂・四王堂・聚宝館の四堂で一人1000円の共通券有
拝観時間 各場所でそれぞれ違うので公式サイトでご確認ください

 

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