鹿の国・奈良において、お菓子の人気・消費量共に堂々の第一位を誇るのが銘菓・鹿せんべいだ。
他府県では盤石の人気のグリコジャイアントコーンですらこの町では全く形無しである。
スフレ、マカロン、クイニーアマン、ティラミス…。
これまでに幾多の豪傑たちが奈良進出をもくろみ、挑んでいったものの、
半分以上が優しさで出来ていると言われる鹿せんべいが持つその嫋やかな味わい、
清雅な姿に人気を奪い取ることは出来なかったのである。
そんな絶対的人気にも胡座をかくことなどなく日々是精進!様々な進化を遂げた鹿せんべえは、
バジル味、チーズ味、納豆味など変わり種が現在絶賛大ヒット中だ!
東大寺参道で営業中の「元祖鹿せんべい東大寺前本店」から興福寺の敷地にまで伸びる大行列は
今や新たな観光名所として大注目なんです。
さて。
鹿せんべい最大の消費地でもある名勝奈良公園には大仏さんの東大寺や、
五穀豊穣を願って鹿せんべいを遠くへ放り投げる奇祭でおなじみの若草山などがあって、
いつも人々でにぎわっているんですが、さらに人を呼び込む施設が生まれた。
東大寺境内に東大寺ミュージアムが開設されたのだ。
東大寺に向かって歩いていく。今回のお目当ては東大寺ミュージアム。
先ほどまでいた奈良女子大からだと、そのまんま東の方へ上がって行けば、
名勝依水園の前に出て、東大寺ミュージアムへ進んで行ける(はず)のだけど、
折角なんで正面の参道を通って南大門を通って行きたいのよね。
ちょこちょこ大仏さんへお参りに行っているのだけど、
あんまり正面から入った記憶がないんだよな~。
大通りに出るまで東の方へ進み、そこから南へ向かってぐいぐい歩いていく。
はっきり言って壮大な遠回りである。
奈良はお寺が隣接していて見て回りやすいなぁ~なんてつい思ってしまうのだけど、
一か所一か所がとても敷地が広くて隣接している感じは全くございません。
隣なのにまだ歩くの!っていつもしんどい思いをするのがなんともはや。
まっすぐ進んでいくと、右手には興福寺、左手には奈良国立博物館が見えてきます。
…って、え?まだ国立博物館の手前だったの?
なんて、あんまり奈良に詳しくない僕は、ここからさらに歩かなきゃならないのか
と言う現実に打ちのめされたのでした。
ここから東大寺の参道に向かっての坂道がまたすごい人の多さだ。
交通量もすごくて、歩きにくいったらありゃしない。四条河原町よりひどいんじゃね?
そうそう、そういえば丁度、国立博物館では正倉院展が開催されているんだったな。
それじゃぁこの混雑も仕方ないよな。
てくてく坂を上がっていくと、
ふと左手になにやらお寺のような建物を発見。
開け放たれた門から覗く、摩訶大将棋の大きな文字。
んんん?大将棋なら知ってるけど、摩訶大将棋?
大将棋よりもっとでかいでっかい将棋の事なのかな?
子供の頃、将棋の本に載っていた大将棋の説明のページにあった駒の名前に
すごくときめいたんだよね。
麒麟、鳳凰エトセトラ。盤上を火を噴きながら駆け巡る駒たち。
中二病をこじらせたみたいな妄想をしていつもニヤニヤしてたんだよなぁ。
嗚呼!はっきりいって気持ち悪い子供だ。
そこらのおっちゃんと縁台将棋を楽しめるくらいには将棋を打てるし、
何より憧れの大将棋が見れるようなので、これは寄っていくしかありゃしませんな!
門の前には二次元キャラが書かれた案内書き。
えーっとなになに、展示会と対局会だって。これは面白そうじゃないか!
しかし摩訶大将棋ってこんなでかいやつなのか。大将棋よりでかいよね。
これは是非とも実物を見てみたいなぁ。
ちなみに会場となっていたこの建物、
は元お寺で、現在は宿泊が出来たりイベントスペースに使われたりしている
国際奈良学セミナーハウスという施設でした。
有無を言わせぬ迫力だ!
風情ある中庭(?)は喫茶コーナーになっておりました。
建物入口。
玄関先に作られた受付で学生さんと事務員のおじさんが
色々と説明をしてくださいました。
説明を聞いていると「お土産代わりに摩訶大将棋の駒を模したストラップをプレゼントしているので
好きなのを持って行ってください」との事。お!これは嬉しいなぁ。
でもこの摩訶大将棋ってのは、駒の種類が約50程もあるんですわ。
それがどーーーーーーんっと目の前に置いてあるのですよ。
…どれ選んだらええのかわからんw
優柔不断でなくても迷うに違いないほどだ。
うーむ。
山積みのストラップの中から自分好みのを探すのですが、
そもそも摩訶大将棋にどんな駒があるのか知らないので
すぐさま決められないw
これかな?あれかな?いやこれにしようか…。
と迷っていると、おじさんが横から煽ってくるんですなw
みなさん迷われますよ~。
一つだけでなく何個でも持っていってくださいね。
彼女さんにこれなんてどうです?
とか。
おじさんが見せてくれたのには、愛だか恋だか、なんかそんな文字が書いてあったw
(モテ期なるものが一向に来ない人間にはココロが痛ひ…。)
しかし摩訶大将棋の駒にそんなのあるのかよ!?と悶絶。
(そんなのはないんだけど、ストラップ用に作ったみたいです)
受付でいつまでも時間かけてらんないし、おじさん達ずっと何選ぶか見てるし!
という凄まじきプレッシャーと戦いつつ、探しに探して選んだのがこちら!
「猛牛」
近鉄バファローズファンとしてはこれを選ぶしかないじゃない!
見学無料の上に、好みのストラップまで頂けてありがたやありがたや。
ストラップをもらってウッキウキで中へ入りますと、
対局場になっている部屋に行くまでの廊下には何やら将棋の事が描かれた巻物が飾られていました。
…ほほぅ。普通の将棋に中将棋、大将棋か。
だけど何が書いてあるかは全くちんぷんかんぷんでしたわ。
ずんずん廊下を進んでいきますと、一番奥の部屋が対局場になってました。
部屋の中や周りには歴史や将棋の本なんかが並んでいて、これは来場者にお勧めの本ってことなのか、
はたまた部屋の飾りとしておいてあるのか微妙に謎な所がとても素敵だったのであります。
そーっと部屋に入ると、
僕より先に来てた女性が、教授に説明を受けながら色々と熱心に見ておられました。
そして部屋の奥では学生さんが対局中!
その手前にも将棋盤と駒が置かれていたので、
対局の邪魔にならないようにこっそり見学していきます。
うはぁ!でかいわー。
実際に間近で見ると、これでゲームが出来るのか?と思うくらい盤面は広く駒がたっぷり。
これは将棋と言うより囲碁みたいだ。
しかしこんなに駒が多かったら動かし方を覚えるだけで大変だろうな。
一局打ち終えるまでどれほど時間がかかるのだろうか。
将棋盤の横にはパソコンのモニターが置かれており、
そちらに摩訶大将棋の盤面が映し出されておりました。
パソコンでもできるようになってるんかな?
モニター周りを見回してみると、摩訶大将棋の説明などが書かれてあったので読んでみると…
なになに、摩訶大将棋は覚えるのが難しいので、初心者でも対局できるように
駒の動きなどを示してくれる支援ソフトを開発しました。だって!?
ってことは、この置いてあるパソコンはそういうことなのか。なんかすごいぞ電気通信大学!
わかったような顔をしてふむふむうなずいていると、
女性の方と教授との会話が聞こえてきました。
「ちょっとまってくださいね、すぐ持ってきますんで」
奥の部屋から教授が持ってきたのは、でかい盤が印刷されたポスターと、何も書かれていない駒。
「お土産ですので、持って帰ってやってみてください、駒の名前はこの紙を切って貼って頂ければ」
駒は200枚近くもあるので、女性の方が若干引いていたのが面白かったです。
なんでもこの女性の旦那さんが将棋好きらしく、それを聞いた教授がお土産にと
プレゼントしたとの事でした。
夫婦円満実にいいことです。
ぷらっと見つけて入った、摩訶大将棋展示会。
凄く面白く、とても得した気分になりました。
摩訶大将棋や大将棋などはルールも特殊。
取った駒は使えないとか、ちょっとチェスっぽいのかも。
電気通信大学さんがサイトを作って紹介されているので
気になった方はそちらを見てくだされ。
会場だった国際奈良学セミナーハウスは元お寺の素敵な場所でした。
宿泊もでき値段も安い!だけど、平成27年3月末で閉鎖される事となっております。
(平成26年11月訪問)
おすすめ度 ☆☆☆☆★ 体験できる機会があれば是非!
ヘンテコ度 ☆☆☆☆☆ 巨大な将棋はヘンテコでしょう!
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