「まあ、言ってもこんな草とかばっかりの道ですから…。ちょっとした狭い道ですし。
でも、こういう所がお好きな方達はとてもいい場所だったと仰りますよ。
写真などを撮られる方なんかよく行かれますねぇ。ああ、でも、それよりもここより…」
観光案内所で見せて頂いた、この後見に行く予定の「窯垣の小径」の写真は…
まぁなんだ。そんな感じだった。
これこそ僕が求めていた、焼き物の街の景色だ!
…と思わせてくれる(らしい?・はず?)窯垣の小径は、
瀬戸蔵から大体1キロ程離れた場所にありました。
たかが1キロくらい、普段なら何てことのない距離なんですが(すぐに歩いて行こうと決める距離)
この瀬戸へ行った時は、丁度真夏(七月)の昼下がりで、気温は余裕で35度越え。
朝の内に名古屋城と市政資料館をたっぷり歩き回った事もあって、
いささか疲労困憊気味なんですよねぇ。
その上、お昼ご飯を食べていない(←これは僕が悪い)という、
甲子園で交流戦を行うバファローズのような、なかなかハードな状態でございます。
瀬戸蔵ミュージアムを出て、時計を見るともう3時を過ぎているではありませぬか。
うぉう!当初の予定通りに名古屋市内でハコモノ巡りをするならば、
これはさっさと戻るしかないかな。
お目当ての瀬戸蔵ミュージアムも見れた事だし。
…でも折角、こうして瀬戸に来たんだから、
有名(らしい)な窯垣の小径を見とくべきだろうなぁ。
迷う、迷うわー。
ここでざっくりと計算をしてみた。
歩いて行ったら大体15分くらいかな。すると往復で30分か。
見学の時間と駅までの時間を含めると、全部で一時間くらいは見とかなきゃならなんか。
それプラス名古屋まで戻る時間を足すと…。栄に着くのは5時前ってところか。
ハコモノの閉館時刻は大体4:30~5:00だから、窯垣の小径へ行ったら
そこで名古屋の旅は終了ですな。
んー。
ならばちょっとでも早く楽チンに移動できないかと考え、バス停へ行ってみたんだけど、
すぐさまあまりの本数の少なさに絶望した。辺りにはレンタサイクルも見つからないし…。
むむむ。
…
とりあえず、行けるとこまで歩いてみるかと先へ進むとあった、
瀬戸蔵近くの観光案内所でまずは情報収集開始である。
窯垣の小径は、炎天下を歩いてでも見に行くべき場所なのかどうか判断する為に、
たっぷりと質問をしてみた。
どんなとこか、どれくらい時間がかかるのか、周りに何かあるのか等々。
たぶん今までで一番観光案内所で質問しただろうなー。
なんせ案内所のお姉さんが親切で話やすかったんだよなー。
お姉さん、あまりに悩む僕の姿に(どう考えても面白そうな所と思えないんだ…)、
こんな感じですよ~と写真を出してくれました。
んー。
わざわざ出して貰った窯垣の小径の写真を見て更に迷う事に。
…これ、間違いなく行ったらがっかりするパターンだわ。そんな気がする。
写真を見る限りでは、どう見てもただの道やもんなー。
そしてお姉さんの率直な感想が更に追い打ちをかけるのだった(冒頭の話)。
一応、行き方だけでもと思い、貰った地図に線を引いてもらった…。ん?
あの~、この「窯垣の小径資料館」ってなんなんですか?(何やら発見したぞ!)
お姉さん曰く「このギャラリーは開いているのが不定期なので何とも言えないですね。
今日は開いてたかなぁ…。」
「あ!でもそこより、もうちょっと先にある工房の方がおすすめですけどねー。
昔からある古い陶房なんですよー。」
なんてさらに色々と教えていただいた。
よし、ハコモノもあるってわかったから、行く事に決めた!
案内所近くにあった招き猫ミュージアムを見てから窯垣の小径へ向かっていざ出陣!
誰にも出会わず、民家の間を縫うようにただひたすら歩くこと15分ほど。
道はうねうねしてるし微妙に登って行ってるし(暑いししんどいっす)、
ほんまにこの道であってるのか?
と、思い始めた頃にようやく小径の入り口に到着した。
お!なんかいい雰囲気じゃね!
進むにつれてどんどん狭くなる道は、
お姉さんの言ってた通り、細くて草だらけの道でした。
上ったり下りたりと、なかなかの高低差で足腰へのダメージが大きい!
でも鬱蒼と茂った木々のお蔭で、木漏れ日なんかはとてもきれいだったので散歩にはええ感じですな。
小径沿いにある建物や石垣も、だんだん焼き物で装飾されたものが多くなってきて、
ああ、これが窯垣の小径と呼ばれる理由なのかと一人ガッテンガッテンガッテン。
そろそろ資料館が見える事かな?
と、そのままずんずん進んでいきますと、
結構大きな建物が見えてきたので駆け寄ってみたら!
そこには予想通りの「閉館中」の文字ががががが!
あああああああああああああ。
やっぱり!そうだとは思ってましたけど!
ハコモノ目当てでここまで歩いてきたのが完全に無駄になったぁぁあ!
しんどさ+素直に名古屋に戻っていればと言う悔恨。これはやっちまったなぁ。
一応看板を見てみると、開館日は不定期って書いてありましたわ。
…てってことは、これ、開いている日に来くのは
他府県人にとってはかなりの難易度ですやん!
…まぁここまで来たのだから、まだまだ道は続いていることだし、
もうちょっと進んでみるか。
ポスターとかにもなってる、お姉さんに見せてもらった有名な坂道の場所まで行ってないし。
と、気を取り直して再びとことこ進みます。
って、え?あれ?また建物があるやん。もしかしてここも資料館?
場所は先ほどののギャラリーから歩いてすぐ。というか隣に建ってると言ってもいいくらいだ。
近くに行って名前を見てみると、そこには「窯垣の小径資料館」と書かれてました。
え?え?え?
じゃぁさっきのは何だったの?ギャラリーって書いてたけど…。
…そうか!お姉さんが言ってたギャラリーってのはあっちの事だったのか。
どうやらこっちの資料館は開いているみたいだし、これならわざわざ来た甲斐があったてもんだわ。
早速、中へ入ろうとすると、丁度建物の中からおっさん二人が出てきた。
その内の一人のおっさんが、
「資料館に来られた方?あー残念。僕らが出るからこれで最後なんですよ。もう3時ですから」
って、やけにニヤニヤして言ってきた。
???
暑さで頭がボーっとしていたせいか、すっかりこのおっさんたちがこの資料館の管理人さんで、
閉館時間が来たから今から閉めて帰るところなんだと思ったので、
「いやぁそうですか。間に合わなかったかー。それは残念だ」なんて、
お間抜けすぎる返答をしてしまった。
それならせめてちょこっとくらい外から建物でも見れたらいいかと門の方へ行ってみると、あれれ?
まだ中に誰かいるぞ!?
そう、中にいたおじさんこそが本当の管理人さんだったのです。
「もう時間やけどええから入り。折角来たんやから」と招き入れてくれましたよ!
あ、ありがてぇ…。
…ってか、さっきのオッサン達、ただの観光客やんけ。
今更ながらオッサン達の嫌味に気づいて怒り心頭でございますよ。
あのク○野郎ども、後で見つけたら(自主規制)!
管理人のおじさん、閉館時間を過ぎているにもかかわらず、館内を案内してくれた上に
いろいろと説明もしていただけました。
「そんなに開けてられないけどゆっくり見て行っていいよ。」なんて。
資料館は僕の苦手な民芸系の展示でしたが、おじさんの面白解説のおかげで楽しめました。
これは珍しいんじゃない?トイレに瀬戸焼を使ってるんだよ、
といって見せてもらった便器は凄かった。
「確か、瀬戸蔵でもトイレに瀬戸物使ってたはずだから見てみたらいいよ」
とも教えてもらいましたよ。
後で行ってみるか。
好きなだけ見て行っていいよって言われましたが、
閉館時間も過ぎている事だし、好意に甘えてじっくり見てるわけにもいかないので、
あっさりぐるっと一通り回って見学終了です。
…まぁホントのところは民芸系には全く興味がわかないのでこうなったw
でも、親切な管理人のおじさん、案内までしてくれてホントありがとう!
休館日は、ハコモノにしては珍しい、月曜ではない水曜日なので要注意!
そして早目の閉館時刻にも気を付けなければならない。
ビデオでの紹介とかもあるからじっくり見るとそこそこ時間はかかりますぜ。
残すところはこのポスターのイラストにもなっている景色を見る事だけ。
資料館を出る時におじさんからすぐ近くだから行ってみと言われていたので
これは行くしかないだろう。
資料館を出て、坂を下って進んで行く。
…んだけど、これがなかなか着かないのだ。
あれ?すぐって書いてあったけどまだつかないの?もしかして過ぎた?
慌てて戻ってみるも、どうにもよくわからない。
仕方ないので、もう一度進んでから辺りを見回してみたら…
あええー、ここなんかよ!
あまりにあっさりとしすぎてて、全然気づかんかったわー。
勝手に岸田劉生の「道路と土手と塀」みたいなのだろう(全然似てないけど)と思ってたからなぁ。
ポスターの絵と同じ場所はじっくり注意してみなきゃ気づかないので要注意だ!
この先にあると聞いていた古い窯(後で調べたら本業窯という所のよう。資料館もありました)
まで行く元気はなかったので、これにて見学終了。瀬戸駅の方に戻ることにしました。
古い商店街(レトロな雰囲気が素敵だった)を抜け、招き猫ミュージアム付近まで戻り、
そこから深川神社へお詣りに行く。
深川神社の参道に商店街があったんだけど、ここがすごかったんだよなー。
照りつける日差しと相まって、とてつもないハードボイルドな雰囲気を漂わせていた。
「宮前地下街」と言うらしいんだけど、地上にあるのに地下街という謎さ。
そのネーミングから、なかなかの珍スポットだったと後で調べて知りました。
商店街名とかこの時は気づかなかったんだよな。
くそー!これだったらちゃんと写真撮っておくんだった。
その後、瀬戸蔵へもう一度寄りトイレを確認。
…普通のトイレでした。おっちゃん!瀬戸焼トイレじゃなかったで!
いやあ瀬戸楽しすぎ。
ホクホク気分で名鉄に乗って、名古屋市内へ移動します。
ガタンゴトン、ガタンゴトン…。ん?何か忘れているような…。
あ!地図に載ってたいくつかのハコモノを巡るのをすっかり忘れていた!
ぎゃっ!
(平成26年7月訪問)
窯垣の小径資料館 瀬戸市観光案内サイト
おすすめ度 ☆☆★★★ がっかり感を味わいに資料館近くの坂に行くのはおすすめ。
ヘンテコ度 ☆★★★★ 瀬戸物で出来たトイレ以外はいたって普通の民芸系資料館。
入館料 無料
開館時間 10:00~15:00
休館日 水
窯垣の小径 瀬戸市観光案内サイト
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